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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る
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休日、アリエッタは朝から温室に出向いていた。レオをデッサンするためだ。
レオにモデルを頼んだ日はあまり時間がなく、今日ならば午前中時間を作れるから、ということだった。
アリエッタが到着して間もなくレオが姿を見せた。
「待たせて悪いな」
「いいえ! こちらこそお時間をつくってもらってありが……とう」
ぎこちなく話すアリエッタにレオはぴくりと眉を震わせる。
「で? 俺はどうすればいい?」
「えーっと……じゃあこちらに座ってもらえ……るかしら?」
アリエッタは動きまでぎこちなくベンチにレオを促す。
「服は? 脱げばいいのか?」
「いいえ! 脱がなくても大丈夫です……あ!」
上着を脱ごうとしだしたレオに慌て、ついレオの出した条件を破ってしまう。口を手で覆ったところで遅かった。
レオが距離を詰めてきて腰を抱く。
「ペナルティーだな」
頤〈オトガイ〉に指をかけられ上向かされる。
「ま、待って! 今のはその……まだ馴れてないだけ! だから一度だけ許して」
アリエッタの懇願にレオは眼を眇め、「仕方ない。一度だけだからな」と言って離してくれた。
アリエッタはホッと胸を撫で下ろす。
いけないわ……気をつけなきゃ。
スケッチブックを胸に抱き、気を引き締めた。
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