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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
『それなのに私……あなたになにもお返し出来なかった。それどころかもう一つ謝らなければならないことをしてしまったの。
レオの想い人が王女さまだってすぐに気付いたわ。お二人の仲睦まじい姿を見て、ご婚約されるって聞いて、おめでとうって言わなきゃって何度も思ったのに……言えなくてごめんなさい。
あなたから受けた恩を考えれば、自分の口で言わなくてはならなかったのに。意気地無しで、心が醜いばかりで言えずに、本当に本当にごめんなさい。
赦されなくてもいいの。でもひとつだけ赦してもらえるなら、遠くからあなたの幸せを願わせてもらえませんか?
あなたの幸せをずっと祈っています。
どうか王女さまとお幸せに。そしてお元気で──。
アリエッタ・ベオグラード』
読み終えたレオは愕然とし、絶望した。
知らず手紙が手から滑り落ち、ひらひらと床に舞い降りた。
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