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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「ナキラとキッシュはこの邸に残ってくれ。万一アリエッタが戻ってきたとき、誰も居ないと淋しがるだろ。それに荒れた邸に帰すのは可哀想だ」
「レオ様……。わかりました。邸のことは私たちに任せてください!」
「花も枯らしませんから、安心してください」
「すまない」
「いえ……。あとこれ……」
ナキラが胸に抱いていたスケッチブックをレオに差し出す。受け取ったレオはその場でページを捲った。
「これは……」
「私たち、ひとりひとりのスケッチです。手紙だけじゃなく、こんな物まで残されておいでだったんですね……」
最初のページにはレオが、次はジョシュアやナキラ、キッシュと続き、邸の使用人全員分の顔が描かれている。
最後のページにはレオとリンゼイが並んで描かれていた。
また胸が痛む。これをどんな気持ちで描いたのか……。
一刻も早くアリエッタを見付けたい。見つけ出して彼女の哀しみを拭い去りたい。
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