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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「それで、あの……アリエッタは? アリエッタは見付かりましたでしょうか?」
挨拶もそこそこに夫人は心痛な面持ちで性急に訊ねてきた。
「いえ……。邸の者とアリエッタの顔を知る城の者にも捜索にあたらせておりますので、情報が入るまでまだもう少しお待ちください」
「そう、ですか……」
「私も窺いたいことがあります。アリエッタと公爵の間になにがあったんですか」
「それはその……」
余程言いにくいのか夫人は視線を彷徨わせる。レオは逸る気持ちを抑え、夫人が口を開くのを待つ。
ややあって夫人はレオを気遣わしげに見詰めた。
「殿下がアリエッタに求愛したのは、あの子が頼んだことだと……」
「え?」
「殿下があの子に求愛してるとなれば、我が家での扱いが良くなるからと……。ですから殿下にお願いし、そういうことにしてもらったと言っておりました」
なんでそんなことを──否、レオのためにしたのだとすぐ思い至る。
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