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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
落ち着き、泣き止んだ夫人はハンカチで頬に残った涙を拭い去り、決意に満ちた瞳を向けてきた。
「こんなこと殿下にお願いしてもいいものか……」
「私に出来ることがあればなんでもおっしゃってください」
夫人は僅かに躊躇いを見せたあと、居住まいを正す。
「実は──」
淡々と話す口調には強い意志が宿っていた。
彼女もまた決意をしたのだ。母親としての決意を。
「お話はわかりました。協力は惜しみません。ですがリリス嬢は納得しているんですか」
「はい。リリスもそれでいいと言ってくれております」
「……わかりました。準備が整い次第、ご連絡差し上げます。夫人もそれまでに手続きを進めておいてください」
「よろしくお願い致します、殿下」
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