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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「それで用件は?」
「議会のお時間が迫っておりますので、お呼びしに参りました」
「もうそんな時間か……」
レオは嘆息し、脱いでいた上着を羽織る。
「あっちのほうの手はずも整っているか」
「はい。滞りなく」
「議会が終わったら行動に出る。2人を頼むぞ」
ジョシュアに言い置き、王城の敷地にある別棟の議会場に向かう。
そこは半円のすり鉢状になっており、壁際に置かれる一際重厚なテーブルには父が席につき、その隣にレオが控える。
その正面には進行係の者が立ち、父が記した書状を声を張り上げて読み上げる。
集まる貴族たちは聞き入り、そして発言をしたりする。
レオはその中に目当ての人物を認めた。
彼は今日、奈落へと突き落とされることなど知らず、悠然と高い位置で座っていた。
彼の顔を見ると腸が煮えくりそうになり、目の前も迸る怒りで赤に染まる。
だが気取られるわけにはいかない。冷静さを保ちつつ、議会が終わるのを待った。
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