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隠匿の令嬢
第20章 アリエッタの愛
「本当にこれで良かったんですか?」
レオの視線の先には涙を堪えるリリスがいる。少なくとも彼女は公爵から愛されてきた。そのリリスにとっては辛い現実であろう。
公爵が犯した罪はリリスも知っている。彼女も前を向いて生きていかなければならないと、夫人の判断で話してあるらしい。
「いいんです。私……お姉さまを支えていくって決めたから。それにお父さまだけ罪を償わないのはいけないことですから……」
リリスは気丈に答えた。その彼女を夫人が肩を擦る。
「あの……でももうお父さまには逢えないんですよね?」
「暫くは見張りをつけます。落ち着かれたら逢うことも可能ですよ。但し護衛は必ずつけてください。あと……彼の罪は公にはいたしませんので、お二人は安心して過ごしてください。ただ彼が街を出るまでは王城からは出ないようお願いします」
公爵には追っ手があるように匂わせたが、実のところは追われる立場にはない。
あくまでも目的は離縁だ。だがそれを悟られれば彼女たちが危ない。なにをしでかすか解らないからだ。
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