この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
逆光で顔は見えなかったが、小柄でほっそりとしたシルエットにアリエッタは立ち上がる。
「ごめんなさいね。邪魔してしまったかしら」
声の主はアリエッタの予想通り、修道院長のマザー・ステラだった。
「マザー。いいえ、大丈夫です。マザーも礼拝ですか?」
「アリエッタに話があってきたのよ。少しいいかしら」
「はい、もちろんです」
マザーがアリエッタに座るよう促し、腰掛けると彼女はアリエッタの隣に座る。
「アリエッタがここに来て半年経つわね。もう馴れましたか」
「はい。まだ戸惑うことも多いですが、皆さんよくしてくださるので」
「そう……。アリエッタはいつも熱心に祈っているようですが、なにをそんなにお祈りしているの?」
立ち入ったこと訊かれ、戸惑う。アリエッタが知る限り、こういったことはなかった。
働かせて欲しいとマザーにお願いしたときも、ただ頷いてくれたから。
.