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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
食堂で修道女たちや子供たちと朝食を終え、子供たちに読み書きを教え。小さな子供の手を取って朝の散歩にも出掛け、また昼食の時間がやってくる。
毎日変わらない、規則正しい生活だ。
昼寝の必要な子供たちを寝かしつければ、アリエッタの自由な時間となる。
日課となった礼拝堂に赴く。この時間まで礼拝をするのはアリエッタくらいだ。
誰もいない静けさに包まれ、聖体を前に膝を立てて指を組んで祈る。
街からやや離れた修道院には、俗世の情報が殆ど入ってこない。
ほぼ自給自足の生活で、週に二度か三度、信徒が物資を寄付してくれるときと、ミサに訪れる人としか修道院で生活する人以外と接する機会もない。
レオとリンゼイの婚約が無事結ばれたのかも、もしやもう結婚に至ったのかも解らないが、王太子の婚礼の報せはいずれここにも届くであろう。
未だ届けられずともアリエッタは願う。レオが愛するリンゼイと幸せを築くことを。
と、そのとき。
礼拝堂の扉が開く気配にアリエッタは顔を上げた。
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