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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
レオは言う。その少女がいたから、自分の進むべき道を見出だせた、と。
「俺はもう一度彼女と逢いたかった。そして数年後、彼女に逢うことは叶った。彼女は想像した通り……いや、それ以上に素晴らしい人だった。彼女と話し、共に過ごし、触れているうちに想いは募った」
ではレオの言う、肖像画を描いた少女というのはリンゼイだったのか。
リンゼイも絵を描くというのは初耳だが、アリエッタが知らないだけだ。
それにしてもレオはどういうつもりなのだろう。今さらリンゼイへの気持ちを聞かされなくても充分過ぎるほど承知しているのに。
アリエッタの気分が落ち込むのを尻目に、レオは続ける。
「彼女への想いが募れば募るほど、俺は気持ちを告げられなくなった。なぜなら……」
レオの顔が苦しげに歪む。淀みなく話していた彼が言葉を切り、今度は絞り出すように話す。
「カーラもシンシアも俺が好きだと言った翌日に死んだからだ」
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