この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
暫し思惟が停止する。
「わた……し?」
どうにか声は出せたが、信じられなかった。だってレオはリンゼイを好きなはず。
彼女を見るレオは驚くほど優しげで、愛おしそうであった。
「信じられません……。あなたは王女様を……」
「それは誤解だ。だが誤解させる原因になったのは多分……王女がシンシアと瓜二つだったからだと思う」
「王女さまとシンシアさんが……?」
「俺も最初逢ったときは驚いた。他人のそら似とは思えないほど似ていた。年も同じだし、生きていたら彼女のようになっていただろうかと、重ねてしまっていた」
「じゃあ婚約したというのは……?」
「そんな事実はない。誓って言うが、俺が愛しているのはアリエッタだけだ」
真摯なレオの眼差しには嘘はなかった。
心が震える。レオが自分に愛を伝えてくれることに。
「俺はここに神でも神父でもシスターでもなく、アリエッタに赦しを乞いに来たんだ。キミを傷付けてきた俺を赦してくれるなら、俺のところに戻ってきてくれないか」
レオの懇願に涙が出そうになる。
.