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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに



 ただひとり愛してきた人からの告白に、今すぐにでも胸に飛び込みたかった。


 けれど出来ない。たとえレオの想いが自分にあるとしても、リンゼイはどうなってしまうのだろう。


 レオを好きな気持ちはどこに行ってしまうのだろう。


「でも王女さまはあなたのことがお好きなのよ……」


 リンゼイの気持ちを無視して、彼に飛び込むことは出来ない。


「王女が俺を? 彼女がそう言ったのか?」


「……はい」


「それはない。王女が想いを寄せているのはジョシュアだ」


「……え? ジョシュア……さん?」


 寝耳に水だった。まさかそんな……。


 リンゼイがジョシュアを?


 だがそう言えば……。リンゼイを晩餐に招いたときも、バルコニーでも。リンゼイの視線の先にレオだけでなくジョシュアもいた気がする。


「間違いない……んですか」


「ああ」


 レオが頷いた瞬間、アリエッタの身体から力が抜けた。






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