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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
そうして後ろ髪引かれる思いで乗せられた馬車が到着した先は、見知らぬ邸だった。
「ここは……? 帰るんじゃないの?」
「今日はここに泊まる」
聞けばコンスタンティン女子修道院のある領主の邸だとか。主は首都に住まいを置いているので不在であるが、許可は取ってあるらしい。
アリエッタは言われるままレオに着いていくと、豪奢な部屋に通される。
「腹は減ってないか?」
「ううん……、平気よ」
二人きりの空間に、否応なしに緊張が高まる。
目まぐるしく降り注いだ出来事に、今さらながらにレオと気持ちが通じたのだとひしひしと感じ入る。
──レオが私を好き……。
改めてそれを頭の中で転がすと、湯立ってしまいそうだ。
「赤い顔してどうした?」
「なんでもないの……なんでもないから見ないで」
頬を手で覆うと、熱くて仕方ない。
その手をレオが引き剥がした。
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