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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに
それから慌ただしくマザーや修道院の人々に挨拶を済ませる。
その間、レオは一時も離れようとせず、気まずいような気恥ずかしいような思いでいた。
子供たちと別れるときは泣けてきた。
「またいつでも逢いにこればいい」
子供たちを抱き締めるアリエッタをレオが優しく宥めた。
「シスター、行っちゃうの?」
特に懐いていた子がアリエッタにすがる。
「うん、ごめんね……」
謝罪しか出ず、ギュッと子供を抱き締めていれば、レオがアリエッタの肩を抱いた。
「彼女はもうシスターじゃない。俺の妻になるんだ」
「つま? つまってなぁに?」
「バカだなー。ケッコンするってことだよ」
「シスター、ケッコンするの?」
レオの一言で泣きじゃくっていた子も騒がしくなる。
「でもシスターは神様とケッコンしてるんじゃないのー?」
「してない。誰がやるか」
ぼそりと溢すレオが可笑しく、最後は笑ってお別れをすることが出来た。
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