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隠匿の令嬢
第21章 その世界、色鮮やかに





「な……なんで一緒に入るの?」


 浴室に連れてこられたはいいが、当然のようにレオに服を剥がれ。彼も脱ぎ去るとまた抱えられて浴槽に浸る羽目になっている。


 バラの香油が混じる湯の中で、向かい合うかたちで膝に乗せられ。ここでもレオはアリエッタの額や頬、鼻先に口づけを繰り返す。


「さっき離れないと誓ったばかりだろ。神の前で」


 わざと神を強調する。


 確かに言ったけれども。なにも浴室まで一緒でなくともいいじゃないか。


 これでは心の準備もあったものじゃない。


 だがなんとなく。口調とは裏腹にレオの口づけや瞳が心許ない気がする。多分過去のトラウマから、アリエッタがいなくなるのではと不安なのだろう。


 アリエッタはレオの仕種を真似て、頬に手で触れ顔を寄せ、小さなキスを額や頬にする。


「ごめんなさい……。もうどこへも行かないから」


 誰よりも愛する人が真っ直ぐに自分を愛してくれてると解った今、二度と離れられるわけがない。








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