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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ




 ガラガラと転がる車輪は、懐かしのメフィスを目指している。


 カーテンを開けば遠くに街が臨め、馬車の中でアリエッタはその光景に眼を細めていた。


 だがその胸中は僅かに複雑だ。


 もちろん戻ってこられたのは嬉しい。しかしだ。問題は修道院を発ってからの時間。


 他にもいくつか理由はあるわけだが、その殆どの原因をもたらしているレオはとてつもなく上機嫌だ。






 最初に宿泊した邸でレオはアリエッタを数日離さなかった。宣言通りに。


 食事も部屋に運ばせ、邸の住人と顔を合わせたのは入るときと出るときだけ。


 その次に訪れた邸でも同じようなことが起こった。


 レオは多忙な人だ。早く戻らなくてもいいのかと問うてみても、問題ないと流されるだけ。


 流されないよう頑張ってみても、レオの不埒な行為に思考すら奪われ。


 そしてなんと修道院を発ってからメフィスに到達するまで一週間の時間が経過してしまっていた。






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