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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ
車中でもレオはアリエッタを離そうとせず、膝の上に乗せている。
アリエッタは外から視線を外し、そのレオを軽くねめつけ小さく唇を尖らせる。
レオはそんなアリエッタに首を傾げてみせた。
「まだ機嫌が直らないのか?」
「だってあんなに恥ずかしい思いしたことないわ」
「俺も邸の主人が帰って来てたのを知らなかったんだ」
そうは言うが、思い出しても火を噴きそうなほど恥ずかしかった。
というのもレオの訪問にあたり、泊まった先々の邸の主がいつの間にか帰還しており、出立の際に挨拶をしたわけだが。
アリエッタを複雑にさせている理由のひとつがここにある。
足腰が立たなくなるまでレオに抱かれたアリエッタは、レオに横抱きにされて主に挨拶をするという失態を晒す羽目になり。
物知り顔で見送られたのだから、居たたまれなくなるのも当然だ。
そうさせた当のレオは至って涼しい顔をしていたのだから、恨めしくもなる。
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