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隠匿の令嬢
第3章 肉食獣は紳士の仮面を被る
アリエッタの後ろから伸びてきた手が頬を包み身体が硬直する。15秒……言ってしまえば短く感じる時間をひたすら息をつめ、なにも考えないでいればきっとあっという間に過ぎていく。
だがレオの唇は予想外の場所に押し付けられた。
「ひゃっ!」
頬にくるのだろうと思っていた柔らかな感触は耳にきて、驚きのあまり小さな悲鳴をあげて眼を剥く。
「こら、動くな。今のはノーカウントにするからな?」
「あ……やっ!」
レオはアリエッタの反論を待たず、耳朶〈ジダ〉を食〈ハ〉む。頬や甲ならば挨拶と同義だが、耳に口づけられるなど予想外だ。
耳朶を唇で優しく挟まれ、ちろちろと舌が這う。
「んんっ……! やぁっ……待って……はっ……」
「唇にはしてないんだ。文句はないはずだぞ」
唇を離さず話すものだから吐息がかかり、寒くもないのに肌が粟立つ。
舌は耳殻にまで及び舐められる感触と熱い吐息に身じろぎしてしまう。
「も、もう15秒経ちました……だから……」
やめてというそばから唇を奪われた。
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