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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ




 街に入ると懐かしさが一層募る。殆ど外出の経験がなくとも、不思議なものだ。


 アリエッタが窓に張り付き外を眺めていると、レオが引き寄せカーテンを閉じてしまった。


「まだ見てたいのに……」


「これからいくらでも見れるだろ」


「でも……」


「聞き分けがないなら、無理にでも聞かせるぞ」


 レオはアリエッタのドレスのスカートをたくし上げようとする素振りをしたものだから、アリエッタは慌ててスカートを押さえる。


「ダメ! 聞くからここではダメ」


「へえ? ここじゃなければいいのか」


「そうじゃなくて……」


「アリエッタの誘いならいつでも乗るぞ」


「だから違うの!」


「はは!」


 真っ赤な顔で抗議するアリエッタをレオは可笑しそうに笑い飛ばす。


 こんなやり取りを交わすうち、馬車の速さが緩んでいく。


 どうやら邸に到着したようだ。



 しかし──。




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