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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ


「邸に帰るんじゃないの?」


 馬車の扉が開かれ見上げた先にあるのは王城だった。てっきりアッシュブラン邸に戻るとばかり思っていたアリエッタは、荘厳な城を瞳を瞬いて見詰める。


「今日はこっちに用事があるんだ」


「そうなの? じゃあ私は先にお邸に戻ったほうがいい?」


 一週間も執務を休んでしまったから、仕事が溜まってしまったのだろうか。レオは問題ないと言っていたが、彼ほど忙しい人はそうそういないのだから、そんなはずはない。


 仕事の邪魔になってもいけないからと申し出るが、即座に拒否される。


「いいわけないだろ。アリエッタにも関係あるんだから」


「私にも?」


 もしやレオの執務を止めてしまったから、国王にお叱りを受けるのだろうか。それとも結婚の赦しを得に行くのだろうか。


 悶々とするアリエッタの腰を抱き、レオは王城の中へと進む。と、彼の誕生パーティーの際に出迎えた紳士──おそらく王城付きの家令だろう人物がアリエッタたちを迎えた。






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