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隠匿の令嬢
第22章 エピローグ



 アリエッタが複雑そうな顔で母とリリスに眼を向けていると、レオの腕に絡めるアリエッタの手に優しくて大きな手が重なる。


『俺がいる。支えるから』と無言でも伝わる。


 レオの何気ない仕種に温かさが広がり、愛しさが込み上げる。


 アリエッタはレオに微笑みかける。彼が支えてくれるよう、自分もいつか彼を支えられるくらい強くなりたいと切に願う。




「病めるときも、健やかなるときも……」


 神父の言葉にアリエッタは心から誓いを立て「はい」と答えた。


 幸せなときばかりではないだろう。だが今ならはっきりと言えたのだ。どんなことがあろうとも、レオとならば乗り越えていけると。


 ベールを上げられアリエッタが瞼を閉じると、そっと唇が重なる。


 涙が出てしまいそうなほど、優しく幸せなキスだ。


「ここに二人の結婚を認める」


 神父が宣言すると、どこからともなく拍手が起こり。


 祝福と喝采に大聖堂は沸き返った。





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