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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック


ガラガラガラーー・・、というキャリーの音が空港に鳴り響く。

制服を着た綺麗なCAの方達に挨拶をされて、笑顔で返した。つい一ヶ月少し前にも来たこの空港。

ただ、前回と違うところが二つある。


一つはシャキーラが居ない事。
そしてもう一つは、心が踊っていない事。

もう心臓がバクバク鳴っているのが自分でもわかった。
そんな鼓動を隠す様にして、私はトレンチコートを羽織っている。黒色のこのコートは、もう五年近く着ているだろう。

息をとめて、外に出た。

どこか懐かしいロンドン特有の寒さと冬の空気に顔をしかめながら、マフラーを巻き直す。

柳沢は、三日後に飛行機のチケットと、ホテルの手配完了画面を印刷した紙、スタジアムのパスを持ってきてくれていた。

だけど、私は留守中だった為、
その郵便物は、ポストに入っていた。スポーツ選手と思えないほど綺麗な字で"待ってる"と書いたメモと共に・・。


今は17時45分。

試合開始は、18時30分。


重いキャリーと一緒にタクシーに乗り込んだ。


この空港からスタジアムまでは
大体30分。

着いたら、開始15分前だ。

ムカつく位完璧な時間配分を考えたプランだった。


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