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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
前半のアディショナルタイム。
ハンソンは、光に取られた先点を取り返した。
宙高く飛んだ縦パスを胸でワンタッチして
左足でゴール。ハンソンのその素早い行動にゴールキーパーはどちらに飛ぶ訳でもなくその場で立ち尽くしたままだった。
「やった!アーセも一点よ!」
「これで同点ね!」
やっと、私の腕から降りてくれたミュラーも
父のチームの点に喜んでいる。
この子はお父さんも大好きだけど
光も同じ位、選手として大好きなんだろう。
だから、両者を応援するー・・。
そんな子どもらしい無垢な行動は私を笑顔にさせた。
「後半までこのままだったら、PK戦になるわ・・」
「えぇ。ハンソンと光は決めるでしょうけどー・・
残りに誰が選出されるかよね。それで決まるわ」
休憩タイムに入り、館内のサポーターは
それぞれ語り合ったり、トイレに出たりする。
私達も少し、喉を潤してから
席に座り込んだ。
ミュラーなんか応援し過ぎ・はしゃぎ過ぎで汗だくだ。
ブリトニーとミュラーはどことなく似ている。
髪の色と目の形ー・・
少し丸めの鼻はお父さん似かな?
この二人を見ていると、子どもがほしくなった。
だけど今は無理だろう。
結婚して専業主婦になるかー・・
この仕事を任せれる位の人を育てるかー・・
どちらかしか方法はないと思う。
でも、今は仕事が第一。
人に任せて今までの功績を壊したくないし
私にしかできない部分もあると思う。
「浮かない顔ね。」
「そう?子どもほしくなってさぁ。」
「ハンソンは?」
「ぷっー・・無い無い。」
「あら、仕事もしないでいいし子どもと常に居れるわよ?あの人、物欲も少ないしおかねにも困らなさそう」
「わかんないわよ~サッカー選手の寿命は短いわ」
「あぁいう人達なら大丈夫よ。
彼、マンションも持ってるし。」
「管理?」
「そう。スポーツ選手には珍しく、そういうの得意みたい。資産形成っていうのかな」
「へぇ~」
それは意外だった。
まぁ、今でも年収は半端じゃない金額だろう。