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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第6章 ホワイトとブラック
ーー・・後半40分。
アディショナルタイムは多分10分程度かな?
両者、得点は変わらない。
このままいけばPK戦だ。
サポーターはどちらを望んでいるのだろう?
ブエノスは昨年優勝を逃したー・・
アーセは二年連続優勝を目指しているー・・、
最優秀賞は、優勝を逃した柳沢・・。
それほどまでにすごかったのか?
普通なら優勝チームから選出しそうなのに。
そんな事を考えながら、ミュラーと同じ目線で、コートを眺める。
大きな時計は43分経過を示していた。
アディショナルタイムの分数によって、どうなるか変わると思う。
"なんと、再び!光にボールが回りました!!"
威勢の良い解説者の声ー・・。
"おーっと、異例です。ストライカーのハンソンまでもが守備に徹しています。"
「ふぅ~!!!」
「あぁっ!アンビリーバボー!」
と口々に観客が叫んでいるのはー・・光とハンソンがお互いに削りあってるからだ。
そりゃそうか。
普段なら関わる事のない二人。
ストライカーだもん。相手を削りに行く必要はない。
だけど・・ハンソンが疲れてるはずなのに
守備軍より動いて柳沢を削ろうとするのはー・・
猛烈なライバル意識があるから?
それともー・・私絡み?
【ピピピーーーッ!!!!】
主審の笛が鳴り響く。
"おーっと、ハンソンが!ファールをとられました!"
"光の服を掴んだ・・んですかね?"
"主審に抗議をしていますが、変わりそうにないですね"
大きく手をあげて、審判にアピールをしているけれど
判定が変わることはないらしい。
ポーカーフェイスのハンソンでさえ
顔には怒りがにじんでいた。
でも、イエローじゃなくて良かったー・・。
ゴールから少し離れてる場所からのスタート。
狙おうと思ったら、狙えるかもしれない。
でもよほどのコントロール力が無いとー・・
ブエノスにとっては時間的に
最初で最後の大きなチャンスだー・・、
アディショナル4分経過。
残り3分。
ハンソンをはじめとしたアーセのメンバーは
それぞれの守備に徹する。
主審が笛をもう一度吹いたときーー・・
4番のユニフォームを着た柳沢は
相手にパスをする振りをしてー・・
一気にミドルシュートを放つ。
もう二回目になる。ネットが大きく揺れるのを見るのはー・・。