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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第8章 パパとママ
「柳沢!いい加減起きやな遅刻するで~」
寝室の大きな窓からは、もう既に太陽の光がこれでもかという位、室内に侵入してきている。時刻は9時ジャスト。今日は柳沢をテレビ局まで送ってから、そのまま紫音の三ヶ月検診に行かないとならない。
「ーー・・ん」
「あー寝返りしたらあかん!紫音おるのに!」
その言葉でハッキリと目が覚めたのだろう、いきなり上半身を起こして辺りを見回した。
「今何時?」
「9時。10時には、局に着いとかなきゃ駄目なんやろう?」
「うん。あ、でも俺まだねむい」
「わかったから、早う起きて。」
おもちゃで遊んでいる紫音を抱き上げて柳沢に催促する。今日は帰ってきてから、各店舗のオーナーが家にきて話し合い。女の子がお店のお金を持って、どこかにとんずらしたらしい。
今後、そんな事がないように、しっかりとその場を借りて、対処法を考えるつもりだ。
「紫音~ミルクは?」
「ーー・・うー」
「いらんのね。わかった。」
「絶対何も喋ってないから」
「うるさい。早く用意して!」
三人でリビングに行くと、机の上に並べられてある朝食の良い香りが鼻につく。昨日の紫音の夜泣きは凄かったー・・。ちょっと寝不足だったので、手をぬいて、ハムトーストとコーンポタージュ。簡単なサラダと梨。
私の携帯は、赤いランプが点滅しているー・・。
ハンソンからのメールかな?
結婚生活をしている私だけど、ハンソンとは朝、もしくは夜遅くに電話のやり取りをしていた。
私の恋愛感情っていうのはハンソンにしかない。
でも、彼もわかってくれている。
今私が守るべきなのは、紫音でありー・・
そして、紫音の父の、柳沢でもあることをー・・。
"小百合が、四ヶ月の結婚生活を終えたらー・・
結婚を前提に付き合わないか?"
柳沢との共同生活初日に言われた言葉。
今もなお、胸にハッキリと残っているー・・。
結婚を前提にしてのお付き合いー・・。
返事は勿論、"yes"
でも、紫音の事が心残りなのは確か。
柳沢は紫音の母の役割もちゃんと果たせるのかな・・?