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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第9章 主婦の長期休暇
小一時間ほど車を走らせて、エリアの中の駐車場に停車する。平日だという事もあって人は少ない方だけど・・それでも世界のアミューズメントパークだ。少ないといっても知れてる。
黒色のロングカーディガンに
シンプルなジーンズと、革製のショートブーツ。
インナーは赤でマリリン・モンローのイラストが入っているVネック。
足が長いし、肩幅広いし・・
本当に何着ても似合うなぁ。
茶色をした少し大きめのサングラスをつけて
真っ黒のハットを被っていても彼がただ者じゃないのは分かる。
カーディガンの裾から見える時計は、
世界で二番目に有名なブランド品のもの。
彼曰く、これは知り合いから誕生日プレゼントでもらったらしい。ーー・・知り合い・・そう、そのブランドのオーナーさん。性格がひねくれている私はネットで値段を調べた事がある。
ーー・・3800万円・・。
ベンツやBMWが買えちゃうくらいの品物。
でも、だからといってダイヤが散りばめられていたり金が目立っていたり・・という事はない。あくまでもシンプルで、その中に上品さを兼ね備えてるものだ。
主婦や若い女の子達は、彼が柳沢だとわかっていない。
でもーー・・彼のオーラに圧倒されてみんな振り向いてまじまじも見つめていた。
一緒に歩くの嫌だなぁ。
軽やかに滑るベビーカーは心地が良いのだろう。紫音は、辺りを見回してとても幸せそうな顔をしていた。
そんな姿をみて、私たちは自然に微笑む。
「こいつが乗れるのあるかな?」
「探したらあるんじゃない?」
「あったらいいなぁ」
「そうね。でもパレード見なきゃ」
「どうせ、また紫音以上にはしゃぐんだろ」
「はしゃがないしっ!」
「よくいうよ。」
私と頭、一つ・・二つくらいちがうのかな?頑張って見上げて反論してみるも、笑って流されるだけだった。
白い指に光っているシンプルな指輪ー・・。この指輪はダミーだ。でも、そんな事より、思い出す事がある。それは・・あの日の晩の事。
あれから、彼は私を一度も抱いていない。
やっぱりーー・・一度抱いたら興味がなくなったのかも。
いいけどね。別に抱いてくれるだけの人ならたくさん居るし。なにより主婦っていう職業に疲れてて・・毎晩求められたりするほうが・・しんどいかも。