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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第9章 主婦の長期休暇


「・・・パパ!!」


布団をがばっと持ち上げる。縮こまって寝ている姿はまるで小動物の様だ。
彼がこんな寝方をするなんて誰が想像するだろう?


「今日だった?」


「うん。だってパパも昨日から休暇やろう。」



「うん。・・・・はぁ」


あからさまなため息をつかれることなんてもう慣れた。気にしない素振りを見せながら紫音をリビングに運ぶ。よく寝る子だな、助かるよ。本当。


「おっ、今日のご飯美味しそう」


「いつも美味しそうよ。」



テレビのチャンネルを変えた。朝から世間を賑わせているのはーー・・響の熱愛報道。

どうやら、彼と美人女優が路上であつ~いキスをする写真が週刊誌に載ったらしい。・・こういうのを想像するだけで怖くなる。これって相手が女優さんだからまだマシだけど一般人だったら・・完璧にネットで探りいれられるもんね。

夢の世界で過ごしたひと時も楽しかったけどそれと同じくらい恐怖心はあった。


だけど、まぁ平凡に過ごせているのをみると
誰も他の人に私や紫音のことをリークしてないんだろう。

柳沢の“停電事件”のときのファンサービスのおかげかな?



「響、彼女できたの?」

「私が知ってるわけないやん。」


「まぁ、そうだな。俺は違うと思うけど」


「え?」



「響が酒癖悪いの知って
この女優が売名行為に使っただけじゃねぇの」




「あぁ・・・なるほど。芸能界ならありえるかも」

「だろ。そんなんばっかだよ」



「こわいわね・・・あ!もうこんな時間やん!!」


「なんだよデカイ声だして」


「ハンソン迎えに行くんやって!!」



「・・・。」



「紫音の用意も全部済ませたから
この2日間、よろしくね?ちゃんと起きてあげてよ?」


「分かってる。」



「明日は、この子検診やからな!?」


「分かってる」




「ミルクの温度も確認して・・」


「分かってる」




こいつ・・!分かってるしかいえないのか・・・。

こんなに念押ししてる理由も“わかって”くれてるのかなぁ?



「じゃあ行ってくるね」


「あぁ。」



「家帰ってきたら一日開いてシャキーラが泊まりにくるから」


「了解。」


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