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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第9章 主婦の長期休暇
ーーー・・プーップーッ!!
空港前に響くクラクションの音。それにいち早く気がついたのは背が高くて心なしかどこか日焼けしている男性。日本人離れの体格と、お洒落な雰囲気は彼にしか出せないものだ。そう・・・“ハンソン”にしか・・・。
柳沢と似た様なサングラスをつけていても
彼の表情がよみとれる。きっと凄く笑顔に違いない。
「ハイ小百合!!」
皆が彼自身に圧倒されているんだろう。通りかかる人や誰かを待っているであろう車内の人達の目線は彼に釘付けー・・・。でも、そんな事をまったく気にしない彼は助手席に乗り込むなり熱いキスを交わしてくるーー・・・。
「んっ・・・ハンソン・・・」
「はぁ・・・。会いたかったよ」
サングラスにゆっくりと手をかける仕草がもどかしいーー・・。
「私も。」
ーー・・久しぶりに見た彼の顔。予想通り凄く笑顔だった。
たまたま目に入ったのであろうか?車の横を通り過ぎた女の人の顔が・・驚きを隠せない!という様なものだったのが面白い。そうだよね、彼のことを知っている人間でも知らない人間でも驚くよね。普通なら。
知っていたら
“え!?ハンソン!?”
知らなかったら
“なに!?あのかっこいい人・・・”
まぁこんな感じだろう。
同じ人間なんだ。考えてることなんて予想がつく。
「ホテルは空港からすぐのところだよ。ウィストンだ」
「あーわかった。先チェックインするでしょう?」
「うん、そうするよ。」
「行きたいところある?」
「下町に行ってみたいね。日本の情緒が感じられる様な所ー・・・。」
日本の情緒が感じられる様な所、か。
彼の希望通りの下町と、
そして日本が誇るビジネス街・ブティック街に連れて行こう。
この2つのギャップに驚くだろうなぁ。
「おっけー。プランは立てたわ。」
「今?」
「えぇ。」
「はは!凄いね、小百合は。頭の回転が速いよ」
「どうかな?貴方には負けるわ」
二人で笑いあって、もう一度
会えなかった時間を取り戻すかの様にキスをしてからーー・・。
私はウィストンホテルへと車を走らせた。