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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第11章 魔法の検査薬
♪クーリスマスが今年もやってくる~♪
大きなテレビから流れる、毎年恒例の某チキン会社のCM。シャキーラが自国に帰って二ヶ月近く。
あの時は秋の風だったのに
今はもう冬の風。それもその筈。
だって今日は十二月二十四日だ。
紫音が家に来たのは九月の頭ー・・。
三ヶ月半しか経ってなかったこの子は
もう七ヶ月にもなった。一人でお座りだって出来る。
赤ちゃんの成長を見るのは本当に楽しい。
三人で出掛けた時に必ず撮影していたビデオDVDの枚数もかなり増えていた。もちろん、写真もね。
写真立てなんか、この子達と一緒に生活しだしてから何個買った事だろう?思い出せない。
だけどーー・・そんな生活が出来る期限もあと一ヶ月を切っている。
ハンソンとは、頻繁に連絡を取り合っていたけど
時が経つにつれ、愛情が冷めてきたのは本当。
やっぱり、あの中だし事件がー・・相当効いたみたい。
ソファーを背もたれにして
座りながらキッズテレビを見ている紫音に目をうつして、私は自分の荷物と光の荷物、この子の荷物を詰めた。
離乳食にオムツに一応ミルクにー・・
あとは着替えだね。
柳沢に関しては服にあまり興味がないみたい。
買う時は買うけど、必死になって選んでないし。
やっぱり元が良いからこそ出る余裕だろう。
だから、スーツケースにこうやって荷物をつめるのも本当楽。変なの入れていっても文句言われないしね。
「ん~まぁ~!!」
「はは。何て~?」
「う~!んうま~!」
先生によると、この子はおしゃべりが早いらしい。
そりゃそうよ。だって三ヶ月・・四ヶ月くらいから奇声発してた様なものだもの。いまだにちゃんとした単語は喋れないけど、それでもよく喋るねぇと道行く人に言われる。
隣のおばあちゃんも、この前おうちに二人でお邪魔させてもらった時に本当に驚いていた。
「げんきだもんね~」
「きゃん~ゆぅ~!」
英語と日本語が混ざってるのが可愛い。
と、親馬鹿が炸裂しそうになってた時、私を現実世界に引き戻すかの様に電話が鳴り響いた。
「もしもし!」
「下着いたぞ。用意出来たか」
「うん。完璧。今から行くわね」
「あぁ。」