この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第11章 魔法の検査薬
女将さんに案内されて、私たちは靴を脱ぎ、部屋に入る。畳の良い匂いが広がっていて落ち着いた。
とても広い部屋。ーー・・窓の外をのぞくと、大きめの露天風呂が見える。やっぱりね、三ヶ月以上も夫婦生活してると、光の考えてる事なんて分かる様になってくるものよ~。
「浴衣のサイズは、電話でお聞き致しましたので・・あとは後夕食のお時間だけー・・」
「小百合、いつがいい?」
「任せるわよ。」
「ま~んまぁ?!」
この子ーー・・いま"まんま"って言った?!後夕食のお時間って女将さんがおっしゃったからかしら?!
「わぁ!紫音しゃべれた?!」
「はぁ。ったく親馬鹿なんだよ。
六時でお願いします。」
「うふふ。赤ちゃん相手だと皆様、そうなるものですよ。では、六時にお部屋にお持ちいたしますね。」
「お願いします。」
颯爽と出ていく女将さんの背中を見てから
私は、ベランダにでてタバコに火をつけた。
寒い中吸うタバコは美味しいはずなのに
最近は全然美味しくないんだよね~ストレスかしら?
柳沢の練習は、朝早いし・・
事業拡大の方は、一ヶ月前に始動したしー・・。
お店は十二月だけあって忙しい。
何だかんだで話し合う内容も多いし考える事も多いのだ。ーー・・柳沢の"もう一人の女"のことも考えない様にはしてるけど、時々、ふと思ってしまう。
彼にとって、その女の人が本命ならー・・
私はただの条件を呑んだ紫音の母でしかないのかな?って。
彼は私に愛を持っていないのかなって。
ーーー・・ハンソンとの恋愛が無くなったからって
光に愛を求めるのは本当に我が儘だとおもう。分かってる。
でもむかしから、甘い言葉が欲しかった。愛情に程近いナニかが欲しかった。だから、私はいろんな人に抱かれてきたんだー・・。きっと元が寂しがりやさんなんだとおもう。
ってか、そう思わないと辻褄が合わない。
私が本当に寂しがりやじゃないなら、いままで隼人や蓮みたいな関係を誰かと持つ必要もなかったし、そもそもセックス中の甘い言葉に胸がキュンッとしないとおもう。
でも、ーー・・関係を持ち続けて、常に誰かの温もりを探してた。
絶対に、寂しがりやさんなんだよね~認めたくないけどさ。