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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第14章 確かな愛



“覚えているかい?

涙と笑顔が溢れていた大切な日々よー・・・


二人泣きながら

「また会えるよね?」って

「忘れないよ」ってーー・・・



こんな泣き虫で弱い僕だけど

また一緒に歩いてゆけるかい?


そんな日が来るまで

何年でも待っているよー・・・”



聞きなれていない歌が室内に鳴り響く。

私は眠い目をこすりながら、曲をとめ、一足先に目覚めていた紫音を抱きかかえリビングに向かった。彼がいないベッドは広く感じる。

前まではー・・一人で寝ていたのに。

今では彼の温もりを感じないと、怖くなってしまっている。



冷水気の水を飲んで、テレビをつける。

昨日の試合のことで持ちきりだ。
アナウンサーやレポーターが取り上げているのは試合の結果ではなく、ハンソンのあのコメントの内容。

皆がみんな、口をそろえて言う。


“まるで小説の様だ”

“あの二人に追いかけられている

女性はどれだけ幸せなのだろう”とーー・・。



でもね、何も知らないくせにそんな甘ったるい事言わないでほしい。私は確かに幸せだ。でもその分、計り知れない将来への不安と恐れで押しつぶされそうにもなっている。


約3時間の手術を終えたらしい光からは昨日の晩、電話が来た。


後3センチ、タックルが上だったら

下半身不随になりかける大きな怪我に発展していたらしい。


そりゃそうだ。

今までずっと放置していたんだもん。その位のタックルで選手生命が終わるほど怪我が悪化していたりしてもおかしくはない。


だけどーー・・とりあえずは無事でよかった。

リハビリ期間は最低でも2ヶ月。

ということはー・・本気でサッカーできるのは約半年後だろう。



イギリス戦でのリベンジー・・。


舞台は親善試合ではなく、

ワールドカップであることは間違いない。



少しため息をつきながら、身支度をして、彼の病院に向かった。


今日はー・・その病院に
帰国を他のメンバーより遅らせたハンソンが来る。

ここからが、真の修羅場ー・・。

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