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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第17章 日進月歩
ーー・・八月九日。新しい我が家には夏のお花が沢山使われている綺麗で豪勢な花束が三つある。新築らしい新しくて真っ白の壁には、コルクボードが飾られてあり四人の写真や、紫音の産みの母・父である宮間さん夫婦と光のスリーショット・・など沢山の写真で溢れかえっていた。
そして、リビングから見えるキッチンに有るワインセラーには紫音の産まれ年と千代菊の産まれ年ワインや、私の愛してやまないオーパス・ワン、ロマネ・コンティなど豪華な顔ぶれが揃っている。
ワールドカップで、準決勝まで勝ち進んだ日本代表。日本中が熱気と希望で包まれていた。だって歴史的快挙じゃない?いくら、対戦国にレッドカードが沢山出て、退場になった人数が多かったり、怪我で優秀な選手がベンチに居たという現実を踏まえてみても、それでもすごいと思う。
運も実力の内だ。
ーー・・だけど、準決勝で、イギリスと当たり3対2で、負けてしまった。三位決定戦では、ウルグアイと当たり延長戦の末、劇的な勝利を納めた。
今期の得点王は、勿論、柳沢。
決勝で勝ち、見事トロフィーを手にした国、イギリスのエースであり、千代菊の父でもあるハンソンは二点差をつけて、得点王にはなれなかったー・・。
あの熱い試合を何度も夢の中で思い出す。
異国の地、ロシアで夫である光の頑張って勝ち進んで行く姿と、日本からの声援に応え様と必死に粘り強く戦っていた姿が、目に焼き付いているのだろう。
シャキーラは心から日本の敗北を悲しんでくれた。だけど、紫音は訳がわからず、ずーっと笑顔。その差が何だか面白くて、私はアンラッキーな気分にならずにすんだのかもしれない。