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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第17章 日進月歩


「一軒家って変な感じだな。」

「なにそれ、ワールドカップから帰って来て、本気で悲しむ前に不動産屋さんに寄って、勝手に現金一括でこの家買ったのパパやろう。」


そうだよ~本当に吃驚したんだから。

私は、彼より二泊早く日本に帰ってきていたことと、彼が帰国する日は千代菊が高熱を出したことが重なって空港までお迎えには行けなかったー・・。

で、帰ってきたら沢山の書類と指紋認識の鍵の保証書と説明書を渡されて。もう本当に彼は、同じ次元に住んでいる人なのかなぁ?とあの日ばかりは疑って仕方がなかった私。

勿論、怒ったわよ。本当の夫婦なんだから、高い買い物するときは話合うべきじゃない?って。本来なら家電製品でも話合うべきだ。それなのに家って・・!

だけど、光は口が達者なの。こういう時に限っては。



「しょうがねぇだろ。イギリスに行って、ロシアに行ってー・・もっと家族を愛した。あの部屋は、あんたが前の隼人っていう男や蓮を泊めた部屋。俺以外の男で喘いだ部屋。確かに紫音とのはじまりも含め色々な思い出はあったけどー・・それでも嫌だよ。」

「前より、お前を愛したから

前は気にならなかったことが
今では気になって仕方がないんだ。」




ー・・そう、あの日も、この言葉を言われた。

軽く褒めて相手を良い気にさせて話を反らしてー・・自分の意見を推し進めようとする彼の頭を策略。

まんまとそれに乗ってしまった私は言い返す事など出来ずに、ただ少し微笑みながら、その日からゆっくりと前の家の荷物を集めて、掃除しだした。

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