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どうぞ、おひとつ召し上がれ。
第1章 グレープフルーツ・マカロン
「今日の記念に、プリクラを撮りましょう。」
見つめていた私の視線が、彼の笑顔に囚われた。
不意打ちの柔らかな表情にどきりとして頬が熱くなるのが分かる。
私は慌てて細かく頷きながら視線を落とす。
「可愛いんですね。」
そう言って、また彼が笑った。
歳があまり変わらない人は慣れていなかった。
そんな人に、可愛いと言われることにも慣れていなかった。
混じり気のないような真っ直ぐな瞳で、可愛いという言葉を何度も繰り返されるとくすぐったい。