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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
男は瑠璃の背中を見送って大きく溜め息をついた。

瑠璃が店を出たのを確認して洋輔は主任と呼ばれた男に近づいた。

「失礼。
 ちょっといいかな」

男は訝しげな瞳を洋輔に向けた。

「浮気断定社の香川といいます」

洋輔は男に名刺を渡した。

男は名刺の裏表を確認して、洋輔の顔と名刺を交互に見た。

「探偵?」

「そうです」

「何の用ですか?」

男の不信と不快を露にした表情が洋輔を見つめる。

洋輔は断りもいれずに男の前に座った。

探偵などやっていれば不信に思われるのは日常だ。
最初から受け入れてくれる人など皆無に等しいのだから。

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