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第5章 追い詰める

夫の目から落ちた涙が赤い絨毯を黒く染めた。

「そんな時部長から誘われたのさ。
１０万の昇給なんてこの先考えてもなかなかない」

深くため息をつく。

「ほんの２～３回付き合うだけのつもりだった。
だけど、君が旅行に行けるねと喜んだ顔が忘れられなくて。」

そして声のトーンが落ちる

「それに、写真と映像を部長に撮られてしまったんだ。

関係を続けなければ会社と自宅に送り付けると。」

大きくため息をつく。