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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第2章 蓮野に降る雪
 確かにその喩えがふさわしい眺めだ。一つ一つの枯れ跡が雪をうっすらと戴いた様は、こんもり盛り上がり、あたかも花が咲いているように見える。そんな氷の花が無限にひろがっているのは現(うつつ)とは思えない。まさに夢幻の世界そのものだ。
「見たところ、何かの花が咲いた跡のようなね。何の花なのかしら」
 訊くとはなしに訊いただけなのに、トンジュからはすぐに応(いら)えがあった。
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