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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第2章 蓮野に降る雪

道理で、父がトンジュを気にとめていたはずだ。あのときは、たかだか下男をいささか過大評価しすぎると思っていたが、トンジュ本人から真相を聞いた今では、父の言葉が満更嘘ではないのだと納得できる。
本当に、トンジュという男は底の知れない深い湖のようだ。サヨンはこの時、思った。
屋敷で見せていた寡黙で穏やかな若者、己れの目的を遂げるためには手段を選ばない―初めて見せた酷薄ともいえる全く別の面、更に商人としての優れた器と次々に思いもかけぬ面を見せてゆく。
本当に、トンジュという男は底の知れない深い湖のようだ。サヨンはこの時、思った。
屋敷で見せていた寡黙で穏やかな若者、己れの目的を遂げるためには手段を選ばない―初めて見せた酷薄ともいえる全く別の面、更に商人としての優れた器と次々に思いもかけぬ面を見せてゆく。

