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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第2章 蓮野に降る雪
 大声を上げて泣くことすらできず、サヨンは込み上げてきた涙を懸命に堪えた。しかし、どうしても堪えきれなかった涙がひと粒こぼれ落ちる。
 その温かな滴はトンジュのうなじの辺りに落ちた。
「―泣いているのですか?」
 しばらくして、静かな声で問うてきた。
「泣いてなんかないわ」
 それでもサヨンが気丈に応えると、トンジュの低い笑い声が聞こえた。
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