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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第1章 始まりの夜
「あなたが泣いているのは、李家のあのうすのろ息子のせいだ。あのろくでなしに嫁がされるのが厭で、お嬢さまは、まるで今にも海神への捧げ物として海に投げ入れられる娘のように泣いているんです」
トンジュのいつにない烈しい物言いに、サヨンは気圧された。
「無礼な言葉は、幾ら、あなたでも許さないことよ。李トクパルさまは、私の婚約者、未来の良人となる方です」
サヨンが辛うじて平静を装って言い返すのに、トンジュの声が覆い被さった。