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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 言うだけ言うと、少女はもう一度微笑み、弾むような足取りでお屋敷の方へと去っていった。まるで春風が一瞬、側を吹き抜けたかのような心持ちで、トンジュは泣くのも忘れ果て、茫然と少女の消えた方を見つめていた。
 トンジュの手には、鮮やかな牡丹色の髪飾りだけが残った―。
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