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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
サヨンは思い切り膨れっ面をして、プイとそっぽを向いた。トンジュをまんまと填めとやろうと目論んだものの、逆に彼に仕返しされる羽目に陥っている。
からかわれているのだとは判らないのだ。
トンジュがサヨンに近寄った―かと思うと、いきなり、ふわりと抱き上げられた。
「ト、トンジュ?」
狼狽え、もがくサヨンを抱きかかえ、トンジュは極上の笑みを刻む。
―この男(ひと)は、何て素敵な笑顔で笑うの―。
刹那、サヨンの胸の鼓動が速くなった。