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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 トンジュが出てゆき、家の両開きの扉が閉まった。
 サヨンは思わず振り返り、たった今、トンジュが出ていったばかりの扉を見つめた。
 知らずトンジュの唇がかすめた額を手で触れてみる。その部分だけが何故か不自然に微熱を帯びているようだ。サヨンはその熱を冷ますかのように、勢いよく首を振った。
 急に思い立ち、扉を開けて外に飛び出してみても、既にトンジュの姿はどこにもなかった。
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