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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
部屋の中には、千尋の海の底を思わせる静けさが満ちている。そのひそやかなしじまの底をあえかな声が艶めかしく這う。
部屋にしかれた薄い夜具の上では、ひと組の男女が全裸で烈しく絡み合っていた。
夜具の上に横たわったトンジュの上に大きく脚を開いて跨り、サヨンはひっきりなしに声を上げていた。トンジュは下から腰を動かし、サヨンを思い切り突き上げる。サヨンはトンジュの胸に手をついて、その度に背を仰け反らせた。