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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
 三月初めの水はまだ冷たい。手のひらで掬ってみると、なめらかで光り輝いている。まずそっとひと口含んでみると、甘露のうま味が冷たい感触と共に喉元をすべり落ちていった。
山上と違って、ここには太陽の光が満ち溢れている。日毎に春らしさを増す陽光が川面に降り注ぎ、乱反射していた。 
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