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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
サヨンが求めたのは木彫りの人形であった。鴛鴦(おしどり)を象っており、雌と雄で一対になっている。昔から鴛鴦は夫婦円満の象徴で、婚礼には必ず用意する縁起物でもあった。
「お前さん、もしかして、新婚?」
喋り好き(いささか喋りすぎの感がないでもない)の女房は鴛鴦を買ったサヨンに問うてきた。
まあ一応、そういうことにもなるのかと曖昧に頷いたら、おまけだといって猿のようなよく判らない小さな置物までくれた。