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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
トンジュのためにも一刻も早くここを出たい。しかし、ここがどこで、何の目的で自分が連れてこられたのかすら判らない状況では、下手に動くのは賢明とはいえない。
せめて手がかりでもあればと思ったけれど、閉じ込められたままの身では知りようもなかった。ところが、状況が動き始めた―しかも急転化―のである。
突然、眼前の引き戸が両側から開いた。サヨンは膝に伏せていた顔を弾かれたように上げた。自分の前に立つ男の顔を茫然として見上げた。
せめて手がかりでもあればと思ったけれど、閉じ込められたままの身では知りようもなかった。ところが、状況が動き始めた―しかも急転化―のである。
突然、眼前の引き戸が両側から開いた。サヨンは膝に伏せていた顔を弾かれたように上げた。自分の前に立つ男の顔を茫然として見上げた。