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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第6章 運命を賭ける瞬間(とき)
「して、肝心の草鞋は?」
 問われ、サヨンは婉然と微笑んだ。
「お屋敷の外にて私の良人が待機しておりますれば、そこにすべてございます。先に黄金を頂きましたれば、すぐにでも、耳を揃えてお渡し致しまする」
「―」
 大君が虚を突かれたように眼を見開き、それから愉快そうに声を上げて笑った。
「なるほど、確かに、そなたは骨の髄からの計算高い商人らしいな」
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