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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第6章 運命を賭ける瞬間(とき)
一時は滅びた幻の村が甦ったのだ。
かつての古き良き時代のように、森の奥の小さな村では、駆け回る子どもたちの姿があちこちに見かけられ、女たちの笑い声や男たちが酒を飲んで陽気に歌う声が響くようになった。
ただ一つ違っていたのは、トンジュたちが森の禁忌を破り、森を抜けて麓と山上を行き来するすべを皆に教えたことであった。そのため、魔の森は恐怖や畏怖の対象ではなくなり、人々に恵みを与える祝福の森となった。