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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第2章 蓮野に降る雪
トンジュは途中で、場末の酒場に立ち寄った。どうやら、その見世では常連らしい。
トンジュが〝おばさん(アジモニ)〟と親しげに呼ぶ見世の女将は年配でいえば、四十前後に見える。
ここでもサヨンは愕きを新たにしていた。宣(ソン)・ソンジュはコ氏の屋敷においても真面目な若者として通っていた。口数は少ないが、特に無愛想というわけでもない。むしろ、黙っていても、その穏やかで思慮深い人柄が端正な風貌に滲み出て、対する相手に好印象を与える男だった。
トンジュが〝おばさん(アジモニ)〟と親しげに呼ぶ見世の女将は年配でいえば、四十前後に見える。
ここでもサヨンは愕きを新たにしていた。宣(ソン)・ソンジュはコ氏の屋敷においても真面目な若者として通っていた。口数は少ないが、特に無愛想というわけでもない。むしろ、黙っていても、その穏やかで思慮深い人柄が端正な風貌に滲み出て、対する相手に好印象を与える男だった。